(0)はじめに

中学数学でやる証明は,基本的なパターンさえ理解していれば誰でもできるようになる簡単なものです.しかし,まだ証明に不慣れな生徒が多いこの段階では,酷く難解に感じることもあるでしょう.そこで,文字式の証明問題をパターン別に網羅していきます.それぞれの問題には「キーワード」があります.このキーワードをしっかりおさえて,それに対応する文字のおき方をマスターさえすればいいのです.このノートが少しでも役に立つことを願うばかりです.

 (1)文字でおく

以下のキーワードがきたら,次のような文字のおき方をするようにしましょう. ただし,かなり厳密に(しっかり文字の範囲を指定して)おいています.実際の中学の問題でしたら,文字の範囲は書かなくても○をもらえることがほとんどです.不等号の下についている棒は,それぞれ"≦"と"≧"と同じ意味を持ちます.note1.png

 上段

偶数・奇数・連続する3つの数についてはn=1,2,…を代入していけばなんとなく納得できると思います.偶数だったら,2×1=2,2×2=4,2×3=6,…,2n奇数だったら,2×1-1=1,2×2-1=3,2×3-1=5,…,2n-1連続する3つの数についても同様にnに順次自然数を代入していけば,正しさがわかると思います.ただし,連続する3つの数については,文字でのおき方が(一般的に)2通りあります.個人的には下のn-1,n,n+1とおくほうが,計算が楽になることが多いので好きなのですが,こちらを用いる場合はn≧2とする必要があります.なぜならば,n=1をn-1に代入すると,1-1=0となってしまい,0は自然数じゃないということになりますからね.

 中段

2ケタ,あるいは3ケタの整数を表すときはケタ数に応じて文字の数を増やします.ただし,2ケタならば十の位,3ケタならば百の位にくる文字xは0になってはいけません.もし2ケタの整数10x+yにおいて,x=0ならば10x+y=yとなってしまい,そもそも2ケタの整数になれません….これでは問題の意図にそぐわなくなってしまいますので,1≦x≦9とする必要があります.では,逆に9より大きな数(例えば12とか)にしたらどうなるかというと,今度は2ケタの整数のはずなのに3ケタや4ケタになってしまうということが考えられます.したがって,整数x,y,zは1≦x≦9,0≦y≦9,0≦z≦9という条件をつける必要があります.

 下段

ある数の倍数であることを示しています.f(k)という記号は中学の段階では不慣れでしょうが,「kを使って表してる多項式だよ」という意味です.ものすごくザックリ言うと.

 (2)例題

文字のおき方をだいたい把握したら,例題で実際の使い方を紹介していきます.
note2.png【解説】2(x+y)-1の形をよく見ると,奇数を表す2n-1の形と同じですよね.x+y=nと置き換えてしまえば,そっくりそのまま2n-1となり奇数を表しているのが分かるかと思います.
note3.png【解説】今回は連続する3つの自然数をn-1,n,n+1とおき,最終的に3の倍数となるところまで証明してみました.それぞれ平方しろと言っていますから,(n-1)^2,n^2,(n+1)^2として,その後全て足してからさらに1を加えています.問題の通りに式を立てただけですね.最終的には3の倍数となることを示すわけですから,式を変形(計算)していって3( )の形に持っていけばいいわけですね.このことを「くくる」と言います.今回は共通因数3で全体をくくっていますね.最後の「題意は満たされた」という一文は,いちいち「連続する3つの自然数をそれぞれ平方した和に1を加えると,3の倍数となることが示された」と書くのが面倒なので,代わりに「題意は満たされた」と書くことによって面倒を省略しています.

ポイント

  • いちいち問題文を書き写す必要はなし.
  • 「題意は満たされた」や「題意は示された」と書けば事足りる.
 note4.png【解説】文字式の証明の中ではかなり難易度が高めの問題です.3ケタの自然数を100x+10y+zとおくことができる生徒はまだ割といるのですが,その後の
x+y+z=3k(k:定数)
と書くことができる生徒はガクッと少なくなります.各位の数というのは,x,y,zのことに他ならず,その和が3の倍数と言っていますから,定数kを用いて3kと表すことができます.
したがって,上の式が成り立つわけですね.あとはこの式を100x+10y+zに代入して,3( )の形に変形してしまえば証明完了です.100x+10y+zはもともとの整数を表していて,これを変形して3( )の形にしてしまえば,もともとの整数が3の倍数であるということになりますからね.今回はzについて解いてから代入しましたが,別にxについてでもyについてでも特に大きな問題はありません.ただ,x,yには100,10といった係数がついているので,代入した後に展開する計算が必要になりzに比べるとやや面倒になりそうですね.

 (3)おわりに

正直なところ,このノートだけで証明ができるようにはなりません.ただし,練習の足掛かりにはなるはずです.今まで一文字さえも書くことができなかった証明問題も,文字でおくことぐらいはできるようになるかもしれません.このノートを足掛かりに,これから文字を用いる証明に取り掛かる多くの中学生の鉛筆が少しでも進めば何よりです.たくさん練習をして証明を身につけましょう!